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「豊かな財政力は市民のくらしに」

 8月28日から開かれた2015年戸田市第4回定例議会が9月29日に閉会しました。最終日に行われた本会議討論採決において、日本共産党戸田市議団は平成26年度戸田市一般会計歳入歳出決算認定、平成27年度戸田市一般会計補正予算(マイナンバー関連予算、軽費老人ホーム白寿荘売却関連)、手数料条例の一部改正(マイナンバー関連)、国民健康保険税の一部改正(最高限度額4万円の引上げ)、北戸田駅北自転車駐車場改修工事請負契約、埼京線3駅8ヶ所の自転車駐車場の指定管理者の指定の6件に反対し、小学校3年生で35人学級・中学校2年生で38人学級実現を求める請願、市民が利用しやすい公共施設の料金設定を求める請願の2件に賛成しました。

 

【平成26年度一般会計歳入歳出決算認定への反対討論】

バランス欠く集中した建設事業・あおる財政危機 「豊かな財政力は市民のくらしに」

                      日本共産党戸田市議団  花井 伸子

 平成26年度は、消費税率8%に引き上げによる7・5兆円の大増税、年金や医療、生活保護など、社会保障の給付削減で10兆円の国民負担増が実施された年。政府はアベノミクスで景気が好転したというが、庶民にはその実感はなく、暮らしはますます大変におり格差がいっそう拡大している。

 自治体の財政を検証するときに忘れてはならない前提は、「自治体の果たすべき役割は何か」「財政の原則は何か」ということである。地方自治体の果たすべき役割は(地方自治法第1条2)「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担う」ことであり、ここでいう「福祉の増進」とは福祉行政といったせまい意味の福祉ではなく、日本国憲法の言う「公共の福祉」であり、住民みんなの人権保障と幸せの実現にある。

 平成26年度一般会計決算での戸田市の財政力指数は1.189で、国の定める標準的水準を行うのに必要な収入を19%程度上回る収入があった。また、標準財政規模は272億7千万円と、基準財政需要額を約100億円以上も上回り、財源の余裕度を示す経常一般財源比率も102.758と大変高く歳入構造が弾力的であることを示した。

 市は財政力指数が高いことイコール財政が豊かとはいえないと、市民一人当たりの「税収+地方交付税」を比較し、不交付団体よりかえって交付団体の方が優位であるような財政運営の適格性を欠く間違った見解を示し、「競艇収入も大きく減り、扶助費がどんどん増え、財政が大変」と、事実と相違した情報を広く市民にまで提供している。

 委員会審議の中で扶助費が経常的な支出を増やした第一の要因であるとの説明があったが、その中身を見ると、1位が人件費22.7%、次に多いのは扶助費ではなく、物件費19.7%、一般財源65億2700万円。扶助費は14.1%、一般財源44億8900万円である。戸田市の人口の伸びは著しく10年前と比較すると約1万7千人も増加しており扶助費が増えるのは当然。また、扶助費を大きく押し上げた要因は平成21年に始まった子ども手当で、扶助費の増額は全国どこの自治体も同様である。問題なのは単年度に突出している建設事業費であり、26年度決算は工事請負費68億5300万円。款別構成比をみると1位、46.1%の民生費の中身は工事請負費が需要額を大きく上回っており、他自治体には例がない。単年度に集中した建設事業費は市の債務を一気に増やすとともに、多額の財政調整基金取り崩しと、さらなる基金積み立てとなり、26年度の財政運営に大きく影響し著しくバランスを欠くものとなった。ひいては市民の暮らし、公共の福祉へと回す予算が減っていく結果となり、今年度から高齢者のみなさんが楽しみにされていた敬老祝い金が一気に減額されるなど、多数の単独事業が見直された。26年度にその決定を導くような財政状況であったのか疑問である。市の様々な単独事業は市民生活を支えるため、国の不十分な社会保障の穴埋めのために、調整弁として築かれてきた事業など、戸田市独自の歴史もあり、こうした事業の一つ一つはその事業の効果を丁寧に分析する必要がある。

 戸田市の平成26年度の財政は引き続き豊かな財政力があることが示されたが、その財政運営はバランスを欠くとともに、「なるほどわかった戸田市の財政」の財政分析は必要以上に財政危機をあおり、職員、議会、市民の皆さんに誤解を与えるものである。戸田市の適格な財政状況を確認し、市民へ誤解を与える情報提供は早急に正すよう求める。