川岸2丁目の物流施設建設問題  「児童生徒と周辺住民の命と住環境を守れ」  文・建「意見書提出」 まちづくり「現地視察」

 3月議会で、「川岸地区の生活環境を守る会」から提出された「(仮称)戸田市川岸2丁目物流施設計画における児童生徒、周辺住民の安全確保を求める請願」が全会派一致で採択されたことを受けて、16日、文教・建設常任委員会並びにまちづくり交通対策特別委員会が開催されました。

 

「市も事業者と積極的に協議を」

 文教・建設常任委員会では、物流施設建設に対する戸田市のこれまでの対応についての報告を受けました。その後「18メートルのトラックが、戸ニ小通りや東部センター通りでオーバーハング(※)するのは危険。事業者に対策を講じさせるべき」「新たに通学路となる予定の歩道は、子ども達に何かあったときの逃げ場がなく問題である」「物流施設予定地の目の前に、障害者福祉会館(心身障害者福祉センター)があり障がい者の方々が多く利用している。対応がしっかりととれているのか心配」などの問題や、問題解決についての意見が多数出されました。

 委員会では「市は住民と事業者との協議まかせにせず、市も積極的に事業者と協議し、児童生徒と住民の命と住環境を守るために取り組む必要がある」との共通の認識のもと、21日、委員会として意見を取りまとめ、菅原文仁市長と戸ヶ崎勤教育長に要望書を提出しました。

 今後、委員会では、これから始まる市と事業者の協議内容を報告させ、委員会としてしっかりと情報を把握し、児童生徒や近隣住民の命と住環境を守るために取り組んでいくことを全委員で確認しました。

※オーバーハングとは・・・トラックは内輪差が大きいことから、左折時に車体がふくらみセンターラインを超えてしまう。また、右折時は車体後部がセンターラインを超えてしまう。

 

文教・建設常任委員会委員  本田哲

 

「こんなところに大型物流施設はありえない」

 まちづくり交通対策特別委員会は物流施設の建設予定地を視察しました。視察では、「川岸地区の生活環境を守る会」の方々が作成された縮尺模型を使って説明を受けた後、現地を確認しました。

 現在、建物の解体工事がほぼ終わろうとしており、建設許可が下りれば令和3年8月1日着工、令和5年8月31日完成予定で建設が進められます。敷地面積2781.95㎡(約8431坪)に建築面積18155.32㎡、高さ29.9mもの物流倉庫が建設され、24時間、365日稼働で、規制緩和された45フィート(約18メートル)のコンテナ特殊車両が出入りすることとなります。現地は工業地域ですが、周りはマンションに囲まれた住宅地です。東側マンションを隔てて、児童数1000人を超えるマンモス校、戸田第二小学校があり、登校時は多くの児童生徒が途切れることなく押し寄せます。小学校正門側の北側道路はセンターラインの無い車道幅員5メートル道路となっており物流施設の出口が予定されています。また、入口に予定されている西側道路も幅員12メートルの補助幹線道路で、しかも太閤橋の傾斜途中というひどいものです。委員全員から「これはひどい。こんなところに大型物流倉庫を作るとはありえない。配慮に欠けている」「今でさえ見通しが悪く事故が起きているのに、大事故につながるのでは」など心配と怒りの声がだされました。会の方々の「児童生徒、地域住民の安全確保を」との願いは当然のものです。

 視察後に行った検証では、通学路の安全確保がされないこと、交通渋滞や道路の劣化、近隣町会への説明もないことなどの点が指摘され、市で何らかの規制ができないのかとの意見が複数出されました。45フィートの特車が常時流出入する倉庫がこのような住宅地にできるのは初めてとのことで、これを許せば今後様々な地域にも建設が広がることになります。建築基準法や道路交通法など、この間、いずれも企業サイドに有利に緩和されてきており、住民の安全と住環境を守るための方策は限られます。会では、せめて、通学路、生活道路の安全確保が図れるところまでセットバックをしてほしいこと、24時間稼働の短縮、出入り口付近の複数警備員体制など要望していますが、事業者からの回答はNOです。

 今後は、文教・建設常任委員会と協議しながら議会としてどの様に進めていくのか委員長間で調整することとなっています。

 

まちづくり交通対策特別委員会委員 花井伸子