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コロナ禍で拡大する格差「豊かな財政」市民のくらしへ活かせ! 日本共産党戸田市議団 2020年度(令和2年度)一般会計決算に反対

9月17日、令和3年度戸田市9月議会が閉会しました。日本共産党戸田市議団は、認定1号令和2年度戸田市一般会計歳入歳出決算に反対。市議団を代表し花井伸子市議が討論を行いました。

コロナ禍での市民のくらし営業支援は十分だったか、検証を求める

令和2年度は、コロナウイルス感染症という未曾有の災害に見廻れ、市もその対応に追われた1年でした。3月の一斉休校、2度の緊急事態宣言、まん延防止で飲食店、カラオケなどは酒類の提供禁止、時短営業。出勤者7割減、テレワーク。市の様々なイベントは中止、延期となるなど市民の健康、命と暮らし、営業など窮地に追い込まれました。長年地元で愛されてきたお店が閉店となりました。政府の不十分で後手後手のコロナ対策を補うため、戸田市に置いても、新型コロナ対応緊急支援パッケージ、第1弾、第2弾など様々な支援策を実施しましたが、改めて検証すべきと考えます。

予想を超えた市税収入

身近な市民生活は大変になる中、戸田市の令和2年度一般計決算状況は、前年度と比較すると、市税収入では、人口増による勤労市民の増加により約2億の増加、法人税は大手企業の減収により前年と比較すると大きく減っていますが、前年度が平年より増収であったことも影響しています。

財政運営は適切だったか

財政力指数は1.252依然高い数値です。財政の収支を見るための代表的な指標として実質収支比率があります。一般的に3~5%が適正な範囲とされていますが、 実質収支比率が3%を下回った場合、剰余金が少なく、翌年度の財政運営において不測の事態が生じた場合に弾力的な対応ができない状況が想定されます。 一方、5%を超えるような状況は、剰余金が多額に発生したことで、収入が当初より相当上回ったか、歳出の不用額が多額に生じた状況を示しており、年度の途中でこうした実態を把握していれば補正予算を編成して、その財源を有効に活用できたにも拘わらず、その対応が十分でなく、適切な財政運営ではなかったと言われています。本市の令和2年度決算における、実質収支比率は13.1、令和2年度中、もっとコロナ対策に大胆に生かすことができたのではないかと考えます。

市民サービスを縮小・廃止し必要以上の基金積み増し

実質収支額は40億円。実質収支額の半分以上の額22億円を公共施設等整備基金に積み立てました。決算審査において、市は基金目標を標準財政規模の60%としているとのことでした。令和2年度の標準財政規模は311億4000万円ですので、その60%となると約186億円です。基金の積み立て率の目標が大きすぎると考えます。
 この間、地方自治体の基金の積み立ての上昇が様々議論になっています。今後の社会保障関係経費の増大、公共施設等の老朽化対策、人口減少、災害等への不安に対する備えだと言われています。

 総務省が平成29年5月に調査した「地方公共団体の基金積立状況等について」のアンケート結果によると、全国市町村の財政調整基金の積立水準は「標準財政規模」の5%~10%となっていますが、本市の令和2年度の財政調整基金は「標準財政規模」の18.5%です。財政調整基金以外の公共施設等整備基金、土地開発基金、防災減災基金の4基金を合計すると137億6063万円となり標準財政規模の44.1%となります。突発的な財政の危機に備えるための財政調整基金、目的を定めた基金を積立額の目標を定め、保っていくことは必要であり異論はありませんが、自治体財政運営は単年度主義を基本としています。実質収支比率の状況をみると、財政運営の効率化、平準化に偏り、基金積み立て目標へ近づけていくことで、市民が必要とする既存事業を縮小、廃止するなど市民サービスを削る事になっていないか、異議を唱えるものです。

自治体本来の役割を明確に

「住民福祉の向上」を目的とする地方自治法本来の役割を見失いかねません。公共施設は延命化を図り、安全性が担保されている工事は先延ばしにするなどして、地方債収支の拡大を抑えることで将来負担を軽減することや、コロナ感染拡大を抑え市民の命、くらし、営業を守るため思い切った財政運営が行われるよう求めて反対しました。