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日本共産党戸田市議団 請願・陳情に賛成討論 他会派の議員の反対で採択ならず

3月定例市議会に提出された、日本共産党戸田市議団が紹介議員となった2つの請願、陳情に対し、党市議団は採択を求め賛成討論をおこないました。しかし、他会派のすべての議員が反対をしたため、国への意見書提出とはなりませんでした。それぞれの討論の大要は以下のとおりです。

 

消費税率5%に戻せば1人10万円の減税!

国に対し「消費税率を5%に引き下げる意見書」の提出を求める請願書(請願者・埼玉土建一般労働組合戸田支部)に対し、紹介議員である本田哲市議は、党市議団を代表し賛成討論をおこないました。

 請願者は、①異次元金融緩和やロシアのウクライナ侵攻による原油価格、原料の高騰と急激な円安による物価高騰が国民生活に大きな打撃を与えていること。②食品をはじめ、外食、日用品、家電、公共料金などあらゆるものが値上げとなり、③負担額は1世帯当たり年間10万円超。年収300万円未満の世帯は「消費税率3%以上の引き上げに相当」と指摘される深刻な状況であることを訴え、軽減税率を含めたすべての品目の税率を引き下げることを意見書として国に提出することを求めていました。

 物価・原油高騰が世界的にも影響を及ぼしている中、世界の付加価値税(消費税)を導入している165ヵ国中、99の国と地域が消費税の税率引き下げの実施や検討を行っています。物価・原油高騰対策の最も効果あるべき方法は、消費税の減税であり世界の流れです。

 消費税は低所得者ほど負担割合が大きくなる逆進性のある税制です。また、消費税は「社会保障のため」と言われ続けていますが、消費税率が3%から10%に引き上げられても、医療・社会保障負担は増え続けています。1989年から2020年の消費税収入はのべ424兆円で、同期間の法人3税の減収は306兆円です。消費税が社会保障のためではなく、法人税の減収の補填にされてきたことは明らかです。

 逆進性のある消費税に依存し財源を確保するのではなく、所得1億円を超えると所得税の負担率が減少するなどの様々な、大企業・富裕層を優遇する不公平な税制をただし、大企業・富裕層に応分の負担を求めることで、消費税にかわる財源をしっかりと確保し、社会保障や地域経済振興に優先して税金を使い、経済を支える個人消費を伸ばすことが必要です。消費税率を5%に戻せば1人10万円の減税となります。今こそ消費税率の5%引き下げを行うべきです。

 

生活が成り立たない、廃業するしかない、生きていけない

インボイス制度の導入中止を!

 日本共産党戸田市議団の本田哲市議は、紹介議員になっていた、国に対し「消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入中止を求める意見書」の提出を求める請願書(請願者・埼玉土建一般労働組合戸田支部)に対し、党市議団を代表し賛成討論をおこないました。

 インボイスとは、税務署の登録番号が付いた領収書・請求書です。これがないと仕入れ・経費の消費税が引けなくなり、消費税の納税額が増えます。インボイス制度の対象となるのは売上が1000万円以下の小規模事業者、ウーバーイーツの配達員など単発で仕事を請け負うフリーランス。また、9割が免税業者の農家、文化・芸術・イベント分野やシルバー人材センターで働く人、ヤクルトレディ、声優、アニメーターなども納税負担が増加することになるなど大きな影響を及ぼします。

 様々な業種で働く当事者から、インボイス制度導入によって、生活が成り立たない、廃業するしかない、生きていけない等の切実な声が全国各地であがり、インボイス制度導入中止の運動が広がり、全国商工団体連合会やさまざまな団体もインボイス制度実施の中止を求めています。

政府は、当事者の声に耳を傾け、インボイス制度導入の中止と、コロナや物価・原油高騰で納税困難な業者には消費税を減免すべきです。

 

原発推進政策の見直しを!

日本共産党戸田市議団を代表し、むとう葉子市議が「原発推進政策の見直しを求める」陳情に対し賛成討論しました。

 昨年8月、岸田首相がグリーントランスフォーメーション実行会議において、これまでの原発の新増設を否定してきた政府方針を大転換したことは大問題であり、日本共産党は撤回するべきと主張してきました。昨年末、岸田首相は最長60年と定められていた原発の運転期間延長を認め、次世代型原発への建て替え推進、原発再稼働を盛り込んだ基本方針を取りまとめました。政府が政策の転換をした理由に、気候変動問題やエネルギー危機、電力ひっ迫等を挙げていますが、原発の安全性、核のゴミ問題、原発が攻撃された場合の危険性など、何ら解決策は挙げられていません。

 陳情には、福島第1原発事故処理もいまだに収束せず、被害者救済も不十分な中で、原発推進の政策は慎重であるべきとされています。今、政府は避難者への支援を次々と打ち切り、帰りたくても帰れない避難民に寄り添うこともなく、見せかけの復興の名の下での政策を推し進めようとしています。原発事故をなかったことにしようとし、今回の原発推進への方針転換は、被害者の心を二重にも踏みにじるものです。

 原発が一たび事故を起こせば、住民に甚大な被害を与えることは12年前の福島第一原発事故で明らかです。大事故の教訓を忘れ、新たな「安全神話」を作り出す原発回帰は許されません。