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日本共産党戸田市議団 2022年度(令和4年度)一般会計決算などに反対「 豊かな財政 市民のくらしへ活かせ」

2023年9月26日、令和5年9月戸田市議会定例会が閉会しました。日本共産党戸田市議団は、認定第1号令和4年度戸田市一般会計歳入歳出決算認定及び認定第2号令和4年度戸田市国民健康保険特別会計歳入歳出決算認定に反対しました。

 また、「2023年10月開始のインボイス制度に関する陳情」の採択を求めましたが、賛成少数で採択とはなりませんでした。それぞれの討論の概要は以下の通りです。

 日本共産党戸田市議団を代表して、むとう葉子市議が令和4年度戸田市一般会計歳入歳出決算について反対討論をしました。

 令和4年は、2月24日にウクライナへのロシアによる侵略戦争が始まり、平和が脅かされる中、世界的にも物価高騰が問題となっていました。また、引き続く新型コロナの感染が夏に第7波、冬に第8波が繰り返し起こり、市民生活は益々、不安定で苦しい1年となりました。

 令和4年度は本市独自の物価高騰対策として、上下水道基本料金4ケ月の減免、保育園・幼稚園・小中学校の給食費無償化が3ケ月間施行されたこと、子どもの居場所活動支援を行ったことは、市民に大変、喜ばれていました。しかしながら、決算認定における財政運営の在り方や令和4年度から児童手当の「特例給付」に所得制限が設けられ、戸田市においても746世帯、対象児童1108人に対する4352万円もの児童手当「特例給付」がなくなったことについては、国の制度改正とは言え認められません。

 改めて、戸田市の令和4年度の一般会計決算状況の中で、歳入の根幹を占める個人市民税を見てみますと、約110億円となっており、令和3年度と比べても微増し安定しています。総務常任委員会において、法人市民税は過去の実績を考慮し、見込んだ当初予算額は19億円だったところ、決算額では約6億円の増収であり約26億円となっており、歳入歳出差引額は45億円にもなります。そして、自治体の財政力指数は、1.214で、令和3年度に引き続き不交付団体となっています。財政の収支を見るための実質収支比率は、3~5%が適正な範囲とされていますが、令和4年度の決算では実質収支比率は14.3%であり、基準値を大きく超えています。これはもっと事業に活かすことのできる予算があったということになります。

 財政調整基金は、令和4年度の当初予算で約19億円を取り崩していますが、決算額では約30億円もの積み立てを行った結果、令和4年度末には74億円となりました。このことについて、戸田市と同様の自治体においても約60億円前後が基金総額の目標としていること、また令和5年度当初には約30億円取り崩しているので、財政調整基金の残高は妥当であるとの答弁でした。しかし、自治体の財政運営は、単年度が基本であり、次年度に取り崩すから良いというものではありません。

 財政調整基金は、突発的な財政の危機に備えるものであること、災害時に生じた減収を埋めるためのものであることは理解できますが、令和4年度は、新年度当初から市民生活が深刻な状況でした。財政運営において、約30億円ものお金を財政調整基金に積み立てられるなら、もっと市民の生活に活かせたのではないか、物価高騰対策やコロナ災害の時にこそ財政調整基金を使い、市民の生活を守る必要があったと、反対討論しました。

 

 日本共産党戸田市議団を代表し、本田哲市議は、令和4年度において国民健康保険税の均等割が5900円引き上げれた、戸田市国民健康保険特別会計決算に反対しました。共産党以外のすべての会派の議員は、同特別会計決算に賛成しました。本田市議の反対討論の大要は以下の通りです。

 戸田市は令和4年度、約3万人の被保険者の国保税均等割りを5900円、総額約1億7700万円の値上げを行いました。国保税の度重なる値上げは、国が国保の財政を都道府県に集約する「国保の都道府県化」を行い、市町村が税率を抑えるために実施している一般会計からの「繰り入れ」を、市民のくらしの実態に目を向けることなく、画一的に、令和8年度までに完全に無くす計画を作らせ、市町村に、その実施を強いています。

 国民健康保険は、全国民が公的医療保険に加入し、必要な医療はすべて保険で給付する国民皆保険として、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる、国民皆保険として確立しました。国保は、無年金者、年金生活者、非正規雇用労働者など低所得世帯が多数加入し、一人当たりの国保税は、協会けんぽの1.3倍、組合健保の1.7倍となっています。国保税には均等割があるため、子育て世代などは、協会けんぽとの保険料の格差は2倍にもなっています。

 全国知事会、全国市長会なども、加入者の所得が低い国保において、被保険者の負担は限界にきているとし、国に対し「一兆円の公費投入」を求めています。「持続可能な国保制度の確立」は、国庫負担を増やす以外、方法はありません。

 戸田市の令和4年度国保加入世帯は1万5927世帯。令和3年度と比較し658世帯減っています。また、国保被保険者数も、令和4年度は、2万3214人。令和3年度と比較し、1226人も減っています。令和2年度の戸田市の国保加入者世帯の所得構成は、「小規模事業所の従業員やアルバイト収入54.3%」「年金収入21.1%」「自営業・フリーランスの収入13.0%」「その他12.6%」となっています。さらに、令和3年度の、総所得200万円以下の国保加入世帯は64.08%となっており、被保険者間で税負担を調整し制度を安定・維持させることは出来ません。

 「地方自治の本旨」「自治体の条例制定権」を定めた憲法のもと、国保が「都道府県化」されていても、自治体が独自の公費繰入を続けることは可能とされています。戸田市は「保険者」として一般会計からの繰り入れを堅持し、市民の命と健康を守る自治体となるべきと訴え反対しました。

 

 日本共産党戸田市議団を代表し、花井伸子市議が「インボイス制度の中止を求める陳情」に賛成討論を行いました。

 この間、本市議会にインボイス制度に関して、延期、見直し、中止を求める請願、陳情が、様々な立場の方から、4度にもわたって提出されてきました。大変珍しいことです。真面目に一生懸命働いて納税している、中小事業所、個人事業主の死活問題として多くの団体が、制度開始を目前にしてもさらに反対の声が大きくなっているとし、以下の点を指摘しました。

 委員会審議においてインボイス制度中止を求める請願・陳情に反対する委員は、「税の公平・公正性」をあげています。私たち消費者が買い物等をして支払った消費税を免税事業者は懐に入れている。これを「益税」だと言い、ちゃんと消費税を払っている事業者がいる一方で、払っていない事業者もいる。これを持って不公平だとし、不正をしているとの指摘です。平成2年3月 26 日に東京地裁において「消費者が支払う消費税分は対価の一部だから、事業者は消費税分を納付する義務を消費者に負わない」とする判決が出されています。2023年2月10日の衆議院内閣委員会において、国も預り金という概念を否定しており、法律的にも価格の一部であるとしています。

 公式に発表されている、2022年度の日本の輸出大企業上位20社の消費税還付金合計は、1兆7千億円を超えています。各社の実質的な売上高はそれほど伸びていないのに、円安で輸出割合が高くなっているため、昨年推算した、同じ上位10社の還付金と比べると、昨年より2860億円(1.6%)増えているそうです。2022年3月期の輸出還付金の合計額は、およそ6兆6千億円で(国税・地方消費税合計)、政府が発表した2022年度消費税収予算26兆円の25.4%に相当します。つまり消費税収の4分の1が主に輸出大企業に還付され国庫に入っていません。ここにこそ「税の公正・公平性」を問わなければなりません。

 政府は、インボイス制度反対の声の広がりから、期限付きに特例措置を設けましたが、根本解決には全くなりません。世界では経済危機を打開するため、100以上の国・地域で日本の消費税に当たる付加価値税の減税を実施しました。世界各国が行なう消費税(付加価値税)の引き下げを、日本ができないはずがありません。
消費税を5%に戻せば、複数税率にする必要もなくなり、インボイス制度は不要になります。
「日本共産党は、国民生活と日本経済の8割を占める中小企業・フリーランス等の生業、日本の文化、芸術、を守るためにもインボイス制度の導入中止と、消費税率を5%に引き下げるべきと考える」と訴え討論としました。