「災害とどう向き合うか。命との係わりのなかで防災を考えてほしい」 日本共産党埼玉県議会議員団主催で公開研修開かれる

 20日、埼玉会館で日本共産党埼玉県議会議員団主催による、片田敏孝氏(東京大学大学院特任教授)の公開研修会「災害犠牲者ゼロへ自治体は何をなすべきか?」が開かれました。

 片田氏は冒頭、近年の豪雨、地震、噴火などの気象災害の荒ぶりは温暖化が影響していることは間違いないと述べ、「温暖化に対する根本的な対策を講じることは当然必要だが、防災のあり方を根本的に見直す時に来ている」とし「役所が非難勧告を出してくれる。避難所も役所が用意してくれているなどの行政依存型が危険を招く。危機意識を共有し、役所の役割は何か、地域の役割は何かを考え、みんなで力を合わせて地域全体で防災に対する課題に取り組み、地域で犠牲者を出さないという社会に変えていかなくてはいけない」と述べました。

 また、片田氏は台風19号などにみられる広域で雨が降り続く現状をふまえ「広域対応・広域避難が必要である」とし、加須市が利根川の氾濫に備え、自治体間連携を含む広域避難体制を構築・運用すること。広域避難の気運を高め、必要な時に適切に広域避難できる住民をつくることを目的として、利根川中流4県境広域避難会議を立ち上げたことを紹介。同会議において広域避難体制が構築されていたことから、加須市は台風19号で避難地域人口の約3分の1である9500人が栃木、群馬、茨城県に避難し、避難行動要支援者500人も大型バスで県外に非難したことを紹介し「広域避難における課題はあるが、水害対応は広域的な観点が必要である」と訴えましました。
 他に、危機管理に対する国の法制化問題、埼玉県としての災害対応、各自治体における避難行動要支援者への対応、東日本大震災で児童・生徒が自らの判断で行動し家族と自らの命を守った「釜石の奇跡」についてなど多彩な内容で予定時間を越える講演となりました。
 片田氏は、最後に「災害とどう向き合うか、命の係りの中で命と命が繋がる防災対応を地域の育みのなかで考えてほしい」と呼びかけました。
 日本共産党戸田市議団からは、本田、むとう議員が市議団を代表し参加しました。