第49回市町村議会議員研修会  研修会2日目「自治体戦略2040構想」と公共サービスの民営化

 講演を行った八王子合同法律事務所の尾林芳匡弁護士は、総務省の「自治体戦略2040構想研究会報告」の中で、今後、人口減少する以上、従来の地方自治体サービスは維持できないと提言していることが問題だと指摘しています。自治体戦略2040構想は、公共サービスの削減と自治体のプラットフォームビルダー化(場所づくり)は行うが、自治体が担う「人」は、AIロボットや民間、NPOボランティアに任せ、わずかな補助と音頭取りでサービス提供するという内容です。

 1999年にできたPFI法は、民間の資金やノウハウにより公共施設の建設と調達を行う法律です。施設や道路、鉄道、水道の大規模な事業を企画から建設・運用まで民間に任せるという内容です。財政難でも施設運用できるとして推進してきた結果、仙台松森PFI天井崩落事故や名古屋港イタリヤ村の破産など、安全が保てないことや儲からない事業による企業撤退などが市民サービスの後退となりました。また2003年指定管理者制度の導入により、公共施設の管理に営利企業が入り、人件費を削減(職員は非正規・派遣等)したことにより公共の福祉サービスが後退した事例が紹介されました。

 戸田市においても戸田市中央図書館に指定管理者制度が導入されることを受けて、市で長年働いてこられた臨採司書職員が整理されたこと、市民の個人情報の保護や全国で問題になっている選書の問題等、日本共産党市議団は市民サービスの後退を招くとして反対しました。特に図書館の管理・運営は、指定管理者制度に馴染まないとして、国会でも2011年当時の片山総務大臣が政府方針に歯止めをかけました。全国13県、16図書館が直営に戻している状況です。
 

人口減少を理由に個々の地方自治体によるサービス供給を縮小、また機能を削減し、広域化や都道府県が補完することで、公共の福祉や市民サービスが後退していくことに繋がることになります。公共施設とは、市民がお金を持っていかなくても気軽に利用できる市民サービスであり、決して利益を追及するような民間企業が運営するものではないということが最後に語られました。市民の税金は、市民の暮らしの質を守るためにあるという立場に立ち、改めて公共施設の在り方について学ぶ機会となりました。

市議会議員 むとう葉子