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「市民誰もが、健康で安全に、豊かに暮らしていける予算を」

 菅原文仁市長の「2020年度施政方針」に対し、3月4日、花井伸子市議が日本共産党戸田市議団を代表し総括質問を行いました。質問の大要は以下の通りです。

 

 

 

花井伸子市議の総括質問の大要

1.予算編成方針について

【花井】市長は「自主財源の根幹である市税の増収が見込めず、予断を許さない局面が続いている」と述べている。戸田市の財政力は県内1位。2020年(令和2年)度は個人市民税、固定資産税、都市計画税を合わせて、25億5000万円増、1.3%増の予算。法人市民税は税率見直しにより3億8000万円の減収が見込まれ、市税全体では0.3%のマイナス予算となっている一方で、新たに法人事業税交付金2億6300万円、地方消費税交付金3億円増の見込みで、歳入全体は安定的である。国民健康保険特別会計への一般会計からの繰出金は、前年比で1億2000万円減少し財源にゆとりができた一方で、被保険者である市民の負担は増大している。さらに、昨年10月からの消費税率10%への引き上げにより、市民の暮らしも生業もますます大変になっている。内閣府の2月17日発表では、個人消費は2.9%減であり、日本経済は深刻な消費不況に陥っている。
 市長はこうした状況をどのように受け止めているか。2020年(令和2年)度予算編成において最も留意すべき点ではないか。

【市長】市税全体では減少、法人事業税交付金は一定の歳入が期待されるが、法人市民税の減収分を補えない見込みである。地方消費税交付金の増額についても、幼児教育・保育の無償化に係る保育料収入等の減少を含め、社会保障関連経費の増加に対し十分に補えない。国保の特別会計への繰出金は減少したが、被保険者一人当たりに換算すると高額の繰り入れが発生している。本市の財政状況は、引き続き予断を許さない状況である。今後も、財源の確保を図りつつ効果的な財政配分に努め持続可能な財政運営に取り組む。

2.重点施策について

①保育園、学童保育の新設と現状、今後の見通し

【花井】戸田市は、2016年に3年間の待機児童緊急アクションプランを策定し、待機児童の解消、保育士の緊急確保策を図ってきた。2020年(令和2年)度も保育園受け入れ枠90人、民間学童保育室75人分の拡大を図ったが、新年度、保育園、学童保育室の入所、並びに入室申し込み者数と内定者数、及び待機児童・生徒数の昨年との比較、今後の見通しは。学童保育室においては、「入れなかった。どうしたものか」との相談が届いている。今後の見通しと対応については。公立保育園並びに公立学童保育室の保育プログラムの充実、新たなニーズに応えることが必要と考えるが。

【市長】アクションプランにより1071名分の保育の受け入れ枠を拡大し、平成31年4月の待機児童数を4名まで減少し、ほぼ計画通り遂行できた。学童保育室については保育需要の高い学校付近への民間学童保育室の誘致を行い受け入れ枠を拡大した。令和2年度も、さらに2室、75名分の民間学童保育室を誘致し、659名分の受け入れ枠を拡大した。今後も保育需要を見極めるとともに、引き続きほいくの質の向上に努める。

②市内事業所の基礎調査結果とその対策

【花井】市内5000社の事業所のニーズ調査の結果と課題とその具体策は。

【市長】アンケート調査は1100事業者から回答があり、サービス業31.2%、製造業24.3%、卸・小売り・飲食業18.6%、その他業種11.3%の順となっている。半数近い事業者が「人員不足」と回答。対策として求人サイトへの掲載、セミナー、専門家による個別相談会など人材確保の機会を増やす。

③防災、浸水対策

【花井】昨年の台風第19号被害における問題を整理し、今後、具体策を講じていくことが重要。水害被害に対応するためのハード面の整備、非常用電源機の確保、昨年に続く消防職員の増員や高規格救急車の増車など、積極的対策の予算化を評価し期待する。また、医薬品の備蓄。ハザードブックの見直し、一斉水害避難訓練等実施されるが、改めて予算を必要とはしない、庁内各課の横断的危機管理の強化、国、県との日頃の連携と情報の共有、緊急時にどこがいつ対応を決定し、市民に的確な情報を発信するかなど、ソフト面の強化が必要。水害だけではなく、震災時、いま、問題となっている新型コロナウィルス対策も同様である。

【市長】全庁的かつ実践的な対策本部訓練を実施し、情報伝達等の習熟、市職員の災害対応能力のさらなる強化を図る。国や県との円滑な情報連携のためシステム強化、市民への情報提供のためホームページのサーバーを増強しアクセス対策を行う。

④公園利用の実態アンケート調査結果と公園リニューアル計画の策定

【花井】戸田市は公園が多く子育てしやすい街と喜ばれている反面、青少年が思い切りボール遊び出来る公園や、高齢者がくつろげる公園がないとの意見が出ている。先進地では児童公園、青少年等がボール投げ等出来る公園、高齢者がくつろげる公園のすみ分けを始めている。防災、バリアフリーの視点、高齢者、障がい者のためのトイレの改善等求められているが、アンケート調査結果は、今後どのように計画作りに生かし進めていくのか。

【市長】アンケート結果では、防災機能、地域の交流、憩いや安らぎに関する意見が多い。幼児から高齢者まで各世代のニーズを踏まえ、災害時の避難の場、平時は地域交流の場、子どもの遊び場としての計画を策定する。

⑤SDGsの視点や指標を取り入れた、第5次総合振興計画

【花井】今後の戸田市の10年間の最上位計画である第5次総合振興計画は。
SDGsの視点、指標を取り入れて計画にしていくとのことだが、SDGsの認知度が世界20カ国平均が51.4%であるのに、日本は14.8%という状況。計画策定とともに、戸田市においてもSDGs認知度を上げていくことで、本計画がより実効性の高いものになるのではないか。

【市長】計画策定後、広報誌等を通して市民へ周知し、理解促進につなげる。

※SDGsは国連加盟193カ国の国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた持続可能な開発目標で、17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されている。

⑥地域担当職員制度

【花井】市内全域での導入を見据えて、モデル地区の試行実施を行うということだが、地域担当職員制度は「情報の共有」「タテ割り行政の克服」などのメリットがある一方で、職員体制の充実、または地域担当職員の所属する地域規模、制度の目的や事業の実施方法など課題がある。 どのような取り組みを検討しているか。

【市長】現在、配置職員の人数や職務等について最終調整を進めている。試行期間では課題を検証し、本市の地域性や実情に合った制度となるよう修正を加え、令和3年度から本格導入を目指す。

3.8つの基本目標に沿った主な事業について

 

 

①第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画

【花井】(1)第7期の計画の見込みに対して、現時点での到達状況。(2)第8期計画において最も心配されるのは保険料であり、市民の声は「引き下げ」である。その見込みは。(3)介護保険サービスはしっかりといきわたっているか。状態は以前と全く変わらないのに介護度が下がり、サービスの回数が減った、利用ができなくなった等の苦情がでている。必要な方に必要なサービスが行き届き、家族の負担軽減、あるいは本人の自立に結び付いているのか、8期計画において改善すべき点は。(4)高齢者のみなさんは、いつまでも元気で、こども達や周りの方たちに迷惑をかけないで、安心して、寿命を全うするために努力をしている。市政は、その努力に対してもう少し優しく手助けすべき。高齢者のくらしは年々厳しさを増している。子育て支援が一歩一歩前進する中で、この間、どれだけ高齢者福祉サービスが削られてきたか。高齢になっても元気で自立して生活できるよう、市の様々な施策を高齢者福祉サービスと連携して充実させるよう、第8期計画に期待する。

【市長】(1)達成状況としては、認知症の人への効果的支援。生活支援サービス事業において、医療機関の待合室を活用し、ボランティアによる脳トレ医療、介護講座の実施。介護予防事業としてTODA元気体操が市内24か所で開催されるなど介護予防の機運が高まりつつある。(2)介護保険料については、介護給付の増加が見込まれることから厳しい財政運営が予想される。介護保険給付費準備基金を活用するとともに被保険者の所得配分に考慮し、低所得者に配慮し保険料設定を検討する。(3)介護度の重症化を防ぐためのサービスの提供については、新たに立ち上げる自立支援型地域ケア会議の開催や介護給付の適正化、要介護度改善奨励制度を創設する。地域課題、ニーズを関係部署で共有し、関係部局による庁内会議で検討している。高齢者のニーズを的確に把握し健全財政のもと、必要な人に必要なサービスが提供できるよう進める。

②環境基本計画及び地球温暖化対策実行計画の改定

【花井】ノーベル平和賞候補になった、スウェーデンの女子高生グレタ・トゥーンベリさんが、国連気候変動枠組条約会議(COP24)や、世界経済フォーラムで行ったスピーチに世界中の若者が賛同し各地で動き出している。若者にとって環境問題、地球温暖化対策は地球の未来がかかった問題であり、『健康な地球で、みんなが平等に平和に生きる』ための2030年目標が、SDGs(持続可能な開発目標)である。環境基本計画及び地球温暖化対策実行計画改訂版策定のためアンケートが実施済みであるが、今後の計画策定検討スケジュール、検討組織への市民参加の拡大、青年の参加の考えは。

【市長】市民一人一人が環境問題を身近なものととらえ、日常生活の中で実践できるような盛り込み市全体で環境意識の向上につないでいく。

③第7次行財政改革プランの策定について

【花井】市長は、行政運営については、より効果的・効率的な行政運営の実現を目指し、第7次行財政改革プランの策定に取り組んでいくとのこと。
 第6次行財政改革プランでは「資源の適正化による効果的・効率的な行財政運営」において、1、人件費縮減の主な取り組みとして実施してきた(職員)定数削減の努力も限界を迎えていること、2、今後もさらなるコスト削減については検討していくことが重要であるが、コストの縮減に偏った改革になってはならないとなっている。市職員は市の財産であり、市民生活、福祉の援助者、市全体の奉仕者として、公共のために仕事をする役割があり、緊急災害時など重要な役割の担い手である。第7次行財政改革プランは、必要な職員配置とともに、安易な民間への移管や廃止など、コスト縮減に偏った改革にならないよう求める。①使用料・手数料等に係る受益者負担の見直しとして、受益者負担の見直しが行われ、文化、コミュニティ活動の縮小、解散という問題が起きた。改善を求める。②税金等の積極的な徴収において、市の持続可能な財政運営を実現するうえで、公平性と公正性の観点で積極的徴収に取り組むことは当然のこととして、市民生活が破たんすることないような、持続可能な生活再建への、親切・丁寧な指導、アドバイスも同時に求められる。対応の強化を求める。③「補助金の積極的な活用」について、国において、新年度の新しい補助金として、台風19号に対応する「緊急浚渫推進事業費」。「地域社会再生事業費」などが創設される。毎年次々と出してくる国・県の補助金の活用を積極的に図っていくべき。

【市長】より効果的で効率的な行政運営を行っていくためには、引き続き行財政改革に取り組むことは不可欠。本市の将来を見据え、より実効性の高い行財政改革の内容となるよう検討する。

【花井】中長期的な視点で、健全案財政運営を測ることは当然のこととして、戸田市の豊かな財政力を、子育てから教育、防災、高齢者福祉など、市民誰もが、健康で安全に、豊かに暮らしていける予算編成となるよう強く要望する。