台東区の「戸別収集」を視察。
1月21日、県南都市問題協議会(川口市、蕨市、戸田市の三市の議会で構成)の環境問題研究部会は、東京都台東区で実施している、「燃やすごみ・燃やさないごみの戸別収集」の行政視察を行いました。
東京23区のごみ処理は、区ごとでごみ収集と運搬をし、清掃一部事務組合(23区で共同運営)で運営している中間処理施設で処理した後、東京都が管理している処分地に埋立てるという流れになっています。そのため、23区は清掃一部事務組合へ分担金を納めることになっており、台東区の分担金は、ここ数年間、約10億円台を推移しているとのことです。台東区は、清掃一部事務組合への分担金が人口やごみ量などで決定されることから、分担金の削減などを目的に、「燃やすごみ・燃やさないごみの戸別収集」を含めた、「台東区一般廃棄処理基本計画」を定め実施しています。
台東区による、ごみの戸別収集は、区内を燃やすごみの収集曜日別に3つの地区に区切り、1年ごとに拡大し3年後の全地域での完全実施を目指しています。今年度は、約2万5千世帯の地区で実施されています。戸別収集の効果として、自宅前にごみを出すことからごみ量の削減や分別の徹底が図れているとのことです。実際に、平成24年度との比較で、戸別収集ではない地域では、マイナス1.7%の削減であったのが、戸別収集地域では、マイナス2.7%の削減になっているとのことでした。
台東区の「燃やすごみ・燃やさないごみの戸別収集」の取組みのメリットは、ごみ量の削減や収集時における一人暮らしや高齢者世帯の見守り、集積所管理の負担やトラブル解消などがあると感じました。しかし、台東区の調査でもプライバシー等を心配する声が、戸別収集実施前で42%もあり、実施後も21%と高く、プライバシーの問題が解消しきれないと感じました。また、戸別収集を導入するにあたり車両増や人員増等で8000万円の予算を執行したとのことでした。今後、残りの地域に広げることなども考えると、予算にみあった事業であるのか現段階での判断が難しく、全地域で実施された後の検証が大事になってくると感じました。
現在、蕨戸田衛生センターでは、平成25年度から平成39年度までの15年間のごみ処理について、新たに、「ごみ処理基本計画」をまとめ取り組みを始めています。この計画の中には、ごみの減量化や資源化を進めるとともに、自力で、ごみ集積所にごみを出すことが困難な高齢者等を対象とした、戸別収集を検討することも盛り込んでいます。戸田市でも、現在、65歳以上の一人暮らし世帯、障がい者のみの世帯、介護認定者のみの世帯の方々に対し、週1回の戸別収集、「まごころ収集」を実施しています。この事業においても、収集日数を増やしてほしいとの要望もでています。現在ある制度もより充実させながら、時代にあったごみ処理が進められるよう、台東区の取り組みも参考にしながら取り組んでいきたいと思います。