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第75回全国都市問題に参加して

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「都市の健康~人・まち・社会の健康づくり~」

 10月10、11日の日程で、大分県大分市で開催された、第75回全国都市問題会議に参加しました。全国都市問題会議は年一回、全国の市長など幅広い都市自治体関係者が一堂に会し都市問題、地方自治について討議する会議です。今回は、「都市の健康~人・まち・社会の健康づくり~」をテーマに、鎌田實諏訪中央病院名誉院長による基調講演、釘宮磐大分市長をはじめとする4名からの報告、久野譜也筑波大学大学院人間総合科学研究科教授をコーディネーターに5名によるパネルディスカッションが行われました。

 「都市の健康」とのテーマで行われた全国都市問題会議で、一番、印象に残ったのは、パネルディスカッションでコーディネーターを務められた久野譜也教授の報告です。久野教授は、地域における健康づくりを従来型の健康施策のみではなく、機能の集約化、住環境及び公共交通網の整備など、街づくりの視点も加えた総合的な施策の構築を目指し、2009年に自治体の首長と大学の研究者等が中心となって「SmartWellnessCity首長研究会(SWC)」を発足したとのことです。SWCでは、街づくりを中核とした総合的健康づくり施策により、健康寿命の延長が可能であるとの仮説を立て、これを実現するために、①歩いて生活することを基本とする「まち」、公共交通がサポートされている「まち」。②高齢者が社会的役割を持てる「まち」、高齢者を一方的に弱者とせずに元気に過ごす期間が自然と長くなる「まち」。③市民の健康・医療情報のデーターに基づき、的確な健康づくり施策が展開される「まち」。④住民の行動変容を起こすために、健康に関心が薄い層も含めて、対象に適した情報が戦略的に提供され続ける「まち」、の構築を目指しているとのことです。

久野教授は、SWCに参加している新潟県見附市の取り組みを紹介。見附市が、個人の体力や身体状況にあった「個別運動プログラム」を提供し、ICTを活用しデーター処理をしていること。この取り組みで、参加者の体力年齢が約15歳若返り、一人当たりの医療費が約10万円抑制されたことが、科学的根拠のある数値として得られたと報告。また、「歩く」ための仕組みづくりにおいても、中心市街地や公園、交流施設の魅力を高め、そこへのアクセスをコミュニティバス等の公共交通を整備し、外出を促し、まちの賑わいや交流人口の増加につなげると同時に、歩数増加を図っているとのことです。久野教授は、「SWCとは、『歩いて暮らせるまち』を創ること」とし報告をまとめられました。

報告を聞いて、「健康」を維持することに「まちづくり」が大きな関わりを持っているということを改めて認識させられました。戸田市においても、健康に関わる様々な施策に取り組んでいますが、「健康のためのまちづくり」という観点は、これまでなかったと思います。今回の視察で学んだことを、今後の議員活動に活かしていきたいと思います。